3776「The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji」
それまでにシングルでちょっとずつ曲は発表されてたけど、アルバムが完成したらとんでもないコンセプトだった。
「宇宙の始まりから終わりまで」と、「女子高生の高校生活」を重ねた作品・・・ちょっと言ってる意味がよく分からない。
https://ototoy.jp/feature/2024121201
1トラック目のナレーションで「この宇宙の中でどのように生まれ、そしてその全てはどのように消えていったのでしょう」
最初から「消えていった」と、宇宙の終わりですら過去形になってるのが衝撃的。
ナレーションでは宇宙の誕生、地球の誕生とかを言っているのに、曲が入るとそれが歌詞とリンクしていくから、そこでも「え!?」となる。
M-2 ダークマターはちょっと目立たない存在です、と言うナレーションから歌い出し「目立ってやるぞ」とか、対消滅のナレーションから「消えるマジック」、この流れに入ったことで、曲の中に唐突に消えるマジックという歌詞が出てくる意味が分かる。
M-4は貴ガス(希ガス)についてのナレーションなので曲名が「気・が・す・る」
ただ聞いてるときと、ナレーションの意味を踏まえつつ歌詞カードを見ながら聞いてるときで印象がかなり変わる。
ライブだと、曲振りで簡単な前口上がある。
「宇宙が誕生するとき、もしダークマターが女子高生だったら」とか。
本当に凄い作品。
M-7「二人乗りよりやばいこと」は、「日本列島が誕生するとき、もし日本列島が女子高生だったら」。日本列島がユーラシア大陸から分かれた直後は東日本と西日本で分かれていたので、それを二人乗りに例えたってこと?
M-8「The Birth of Mount Fuji/17歳はパーフェクトエイジ」は、過去には大爆発などしたこともあるけど現在は奇跡的にきれいな姿をしている、と言うのを、17歳という一瞬の輝きに例えてるみたい。
後半になるとさらにスケールが大きい。
ユーラシア大陸が、また(日本列島と)一緒になれてうれしそう(M-10 The Death of the Japanese Islands/ようこそホームルームへ)とか、生命が生きられなくなった地球が「ごめんね守れなくて」M-12 The Death of Earth/それでも恋したいよ)、そのスケールで宇宙史と高校生活を重ねられるのか、という衝撃が。
曲としては最後のM-15は、宇宙の終わり=ビッグウィンパー、すべてが蒸発していくとき。
ずっと裏で時間のカウントをしてるんだけど、この曲の後半では歌詞の合間でリズムを取るようにカウントが入ってて、しかもかなり大きな数(1068年=1無量大数年よりも大きい数)を対数で言ってて、どんどん大きくなりつつテンポも落ちていくので、本当に全てが終わる感じが出ていてなんだか寂しくなるという。
最後の「私は別の宇宙で別の富士山を探しに行く」という台詞も衝撃的。いったいどういう立場!?
名作であり大作であり奇作。
こんなものは3776、石田彰にしか作れない。
トラックリスト
アルバム発売以降、ライブで曲を披露する時にはアルバムのコンセプトに沿った曲の前口上がある。そこが、曲についてコンパクトにまとまっているので、今回まとめてみた。
と言うか、このレビューを書くためにまとめた。
この前口上を聞いた(読んだ)うえで歌詞を見ながら曲を聴くと、曲の世界の見え方が変わる。
No | Track Name アルバムのトラック名 | Song Title 曲名 | Induction 曲の前口上 |
---|---|---|---|
1 | Introduction | – | – |
2 | The Birth of the Universe | 主役は私だもん! | 宇宙が誕生するとき、もしダークマターが女子高生だったら |
3 | The Birth of the Atom | 君をキャッチ | 原子が誕生するとき、もし水素原子核が女子高生だったら |
4 | The Birth of Oxygen | 気・が・す・る | 酸素が誕生するころ、もし酸素原子が女子高生だったら |
5 | The Birth of Earth | 転入生インパクト | 地球が誕生するとき、もし初代の月が女子高生だったら |
6 | The Birth of Life on Earth | 貧乏ゆすりに誘われて | 生命が誕生するとき、もしある有機化合物が女子高生だったら |
7 | The Birth of the Japanese Islands | 二人乗りよりやばいこと | 日本列島が誕生するとき、もし日本列島が女子高生だったら |
8 | The Birth of Mount Fuji | 17歳はパーフェクトエイジ | 富士山が誕生するとき、もし富士山が女子高生だったら |
9 | The Death of Mount Fuji | もう走れなくなっても | 富士山が死ぬとき、それを見ていた名も無き山がもし女子高生だったら |
10 | The Death of the Japanese Islands | ようこそホームルームへ | 日本列島が死ぬとき、もしユーラシア大陸が女子高生だったら |
11 | The Death of Life on Earth | 三人未満廃部 | 生命が死ぬとき、もし地球が女子高生だったら |
12 | The Death of Earth | それでも恋したいよ | 地球が死ぬとき、もし火星が女子高生だったら |
13 | The Death of Oxygen | ギャグマシーン | 酸素が死ぬとき、もしブラックホールが女子高生だったら |
14 | The Death of the Atom | さよなら渦巻きの中の私 | 原子が死ぬとき、電子がもし女子高生だったら |
15 | The Death of the Universe | 卒業したはずの君に | 宇宙が死ぬとき、もし宇宙空間を飛び交うニュートリノが卒業後の女子高生だったら |
16 | Introduction (Reprise) | – | – |

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